【第2回】技能実習ビザの特徴とよくある悩み

やさしくわかる!在留資格ガイド

こんにちは!

「やさしくわかる!在留資格ガイド」シリーズ第2回では、

「技能実習(ぎのうじっしゅう)ビザ」について解説します。

インドネシアをはじめ、たくさんの外国人がこのビザで日本に来ていますが、「ルールがむずかしい」「働ける仕事が限られている」「悩みが多い」という声もたくさん聞きます。

今回は、技能実習ビザの特徴、注意点、よくある悩みと対処法を、わかりやすく紹介します。


1.技能実習制度ってなに?

「技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど)」は、外国人が日本で働きながら技術や知識を学ぶ制度です。目的は、学んだスキルを母国に持ち帰って、国の発展に役立ててもらうことです。

制度のスタートは1993年。
農業、漁業、建設業、介護、縫製など、主に現場の仕事で実習を受ける人が多いです。


2.技能実習ビザの特徴(メリットと制限)

2-1|メリット

  • 日本で働きながら学べる
  • 最長5年まで滞在できる(条件あり)
  • 寮や研修など、受け入れ体制が整っている
  • 日本語や生活の支援が受けられることが多い

2-2| 制限・注意点

  • 転職できない(原則、同じ会社でしか働けない)
  • 実習できる職種が決まっている
  • 給料は日本人と同じ最低賃金だが、仕事内容によっては大変
  • 監理団体・受け入れ企業のルールに従う必要がある

つまり、「学びに来ている」という立場のため、自由に仕事を選んだり、職場を変えたりすることはできません


3.よくある悩み

3-1|仕事がきつい、給料が少ない

技能実習生からよく聞くのがこの悩みです。

「毎日残業が多いのに、給料が少ない」
「重い物を持つ仕事ばかりで、体がつらい」

このような状況があった場合、まずは**監理団体(かんりだんたい)**に相談しましょう。
監理団体は、実習生が安心して働けるように企業をチェックする役割を持っています。

場合によっては、労働基準監督署などの機関に相談することも可能です。

💡 ポイント:
日本では、残業や休日出勤には「割増賃金(わりましちんぎん)」が必要です。労働条件が守られていない場合は、遠慮せず声を上げましょう。


3-2|人間関係やハラスメント

職場でのいじめや暴言、パワハラ・セクハラに悩んでいる実習生もいます。

たとえば:

  • 上司が大声で怒鳴る
  • 日本語がうまく話せないからバカにされる
  • 同じ国の先輩が厳しすぎる

このようなことがあったときは、我慢しすぎないでください。

日本では、労働者としての権利があります。技能実習生であっても、安心して働く権利があります。

📞 全国の「外国人相談窓口」や「ホットライン」に連絡してみましょう。
インドネシア語が通じる窓口もあります。


3-3|実習とちがう仕事をさせられる

「配属されたのは溶接工場なのに、ずっと清掃ばかりやらされる」
「研修と関係ない雑用ばかりで、スキルが身につかない」

これは制度違反の可能性があります。

技能実習制度では、仕事内容が明確に決まっていて、それ以外の業務を強制することは禁止されています。
こうした場合も、監理団体や外部の相談機関に報告することが大切です。


3-4|日本語が通じない、生活が不安

実習生の多くが日本語に不安を感じています。

  • 工場での指示がわからない
  • 病院でうまく説明できない
  • 書類や通知が読めない

こうした場合は、まず日本語の勉強をあきらめないことが大切です。
最近では、スマホで学べる無料アプリや、やさしい日本語の教材も増えています。

💡 おすすめの勉強法:

  • YouTubeで日本語学習動画を観る
  • アプリ(たとえば「にほんごたどく」など)で読む練習
  • 寮の仲間と日本語だけで会話してみる

また、自治体やNPOが運営する日本語教室もあるので、ぜひ活用してみてください。


3-5|家族に仕送りできるほどの収入がない

「日本に来たのに、家族にお金を送れない」
「生活費や寮費を払ったら、残るのはわずか」

こうした悩みを持つ実習生は少なくありません。
技能実習制度の目的は「収入」ではなく「技術の習得」ですが、実際にはお金を稼ぎたい人が多く集まっているのも現実です。

もし将来的に、より収入を増やしたいのであれば、特定技能ビザへの変更を考えることもできます(詳細は次回の記事で紹介予定です)。


6.技能実習から「特定技能」へステップアップも可能

最近では、技能実習修了後に「特定技能」へ移行する人が増えています。

「特定技能」は、より実践的に働けるビザで、職種によっては転職も可能になります。また、家族の帯同が認められる職種もあります(例:特定技能2号)。

たとえば:

  • 技能実習(3年) → 特定技能(5年)
  • 特定技能2号を取れれば、さらに長期滞在・永住の道も!

ただし、特定技能には試験合格が必要です。日本語能力(N4レベル以上)と、業種ごとの技能試験に合格する必要があります。


5.困ったときの相談先

以下のようなところに相談できます:

  • 技能実習機構(OTIT)
  • お住まいの地域の外国人支援センター
  • 行政書士(外国人支援が得意な人)
  • インドネシア大使館・領事館

また、「インドネシア語が話せる相談員」がいる支援団体もあります。ひとりで悩まず、早めに相談してみましょう。


6.まとめ

今回は、「技能実習ビザ」の特徴と、よくある悩みについて紹介しました。

  • 技能実習は「学び」のビザ。自由に働けるわけではない
  • 転職や副業は基本的にできない
  • 労働条件や人間関係のトラブルは、専門機関に相談を
  • 日本語の不安は、日々の努力と仲間の協力で乗り越えられる
  • 将来は「特定技能」など、次のステップも考えられる

次回は、「特定技能で働くための流れとポイント」について解説します。
技能実習からのキャリアアップを目指す方にぴったりの内容です。お楽しみに!

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