CEFR(セファール)は、日本語教育や外国人材の受け入れで近年ますます重要になっています。しかし「名前は聞いたことがあるけれど、内容はよく分からない」という人も多いかもしれません。
この記事では、CEFRの基本、JLPTとの関係、育成就労制度とのつながり、そしてA1レベルに到達するための学習まで、ひとつの記事でわかりやすく説明します。
1. CEFRとは何か?
まず最初に、CEFRが何を目的とした基準なのかを理解しておくことが大切です。日本語教育だけのものではなく、世界共通で使われる指標です。
1-1|世界共通の言語レベル基準
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、言語能力を6段階で示すための国際的な基準です。
もともとはヨーロッパで作られましたが、現在では英語・日本語・フランス語・スペイン語など、さまざまな言語のレベル表現として利用されています。
つまり、**CEFRは「どの言語にも使える世界共通のものさし」**なのです。
1-2|6段階のレベル
CEFRはA1からC2まで6段階です。
レベルが進むほど「より自然に言語を使える」という意味になります。
- A1:超初級(簡単な会話・あいさつができる)
- A2:初級(身近な話題でやり取りできる)
- B1:中級(日常生活でほとんど困らない)
- B2:上中級(専門的な内容もある程度理解できる)
- C1:上級(複雑な内容も深く理解できる)
- C2:最上級(母語話者に近い能力)
日本語だけでなく、英語やフランス語の学習者でも同じ指標で比較できます。
2. CEFRが「できること」で評価する理由
CEFRの特徴は、単なる知識ではなく、実際に使える力に注目している点です。
2-1|文法より“使える力”を重視
言語は「知っている」だけでは意味がありません。
CEFRは「何ができるか(Can-do)」で評価します。
例:
- 「自己紹介ができる」
- 「買い物で注文できる」
- 「自分の意見を述べられる」
このように、実際の場面に基づいた評価が行われます。
2-2|評価方法のメリット
CEFRが注目される理由は次のとおりです。
- 実生活で役立つ力が明確になる
- 世界中で共通の基準として比較できる
- 学習者が目的やレベルアップの方向性を理解しやすい
特に外国人材や留学生を受け入れる場面では、共通の基準が大きく役立ちます。
3. CEFRとJLPTの違い
同じ「日本語のレベル」を扱うものとして、JLPT(日本語能力試験)と比べる人が多いです。
しかし、この2つは成り立ちも目的も異なります。
3-1|CEFRとJLPTは別の仕組み
- CEFR:言語運用力を幅広く評価する国際基準
- JLPT:日本語の「読む力」「聞く力」に特化した試験
JLPTは話す・書くの能力は直接測りません。
3-2|近年の「参考対応」
CEFRが世界基準として広がったことを受け、
JLPTは2025年から成績証明書にCEFRレベルを参考表示する予定です。
これは、外国人材の採用や学校での判定に役立つようにするためです。
3-3|JLPTとCEFRの参考対応
完全一致ではありませんが、目安として以下のように説明されています。
- N5 → A1
- N4 → A2
- N3 → A2〜B1
- N2 → B1〜B2
- N1 → B2〜C1
あくまで「参考」であり、JLPTだけで話す力などの総合的な運用力を判断することはできません。
4. 育成就労制度とCEFRの関係
ここからは、日本で働く外国人材の制度とCEFRがどう関係しているかを説明します。
4-1|入国時に「A1相当」が必要
育成就労制度では、入国前にCEFR A1程度の日本語力があることが求められます。
これは、安全に生活し、基本的な職場コミュニケーションを行うための最低限のレベルだからです。
4-2|JLPTは必須ではない
制度で求められているのは**「A1相当の言語運用力」**であり、
JLPTの合格そのものではありません。
ただし、現場では
- JLPT N5 → A1の証明になりやすい
- JLPT N4 → A2に相当
と実務上の判断基準として使われることがあります。
5. A1レベルとは何か?
A1はCEFRの中でも最も基本的なレベルです。
「生活の入口に必要な最低限の日本語」と言えます。
5-1|A1でできること
- あいさつができる
- 自分の名前・国籍を伝えられる
- 簡単な質問に答えられる
- 基本的な指示(来てください/止まってください)を理解できる
日常生活のごく簡単な場面でのやり取りが中心です。
5-2|必要な語彙・文法・学習時間
- 語彙:300〜400語
- 文法:5〜10種類の基本文型
- 学習時間:80〜120時間
外国人にとっては、短期間でも到達可能なレベルです。
6. 外国人がA1になるために必要なこと
A1は手が届きやすいレベルですが、「どこを学ぶか」の方向性を間違えると遠回りになります。
6-1|語彙と文法
生活に必要な語彙(食べ物、家族、動作など)を中心に学習します。
文法は「AはBです」など基礎だけで十分です。
6-2|短い会話への慣れ
A1では長い文章は必要ありません。
短いやり取りを繰り返し練習することがポイントです。
6-3|指示理解のスキル
職場や生活での基本的な安全指示が理解できることは非常に重要です。
7. A1学習におすすめの教材
教材選びによって、学習効率は大きく変わります。
A1レベルを目指す人には以下の教材が適しています。
7-1|まるごと 入門(A1)
CEFR基準に合わせて作られており、生活場面を中心に学べます。
7-2|いろどり 生活の日本語(A1〜A2)
無料で利用でき、外国人学習者に非常に人気の高い教材です。
7-3|げんき1
読み書きも含めた総合学習ができます。
7-4|みんなの日本語 初級1
世界中の日本語教室で使われている定番教材です。
まとめ
CEFRは、日本語教育だけでなく世界中で使われている言語の共通基準です。学習者が「どこまでできるのか」を客観的に示すことで、教育や採用の場でも役立つ指標となっています。ここでは、記事のポイントをあらためて整理します。
- CEFRは世界共通の言語レベル基準
- “できること(Can-do)”を中心に評価
- JLPTとは別物だが、参考対応が進んでいる
- 育成就労制度では入国時にA1相当が必要
- A1は300語・80〜120時間で到達可能
- A1学習には「まるごと」「いろどり」などの教材が最適
CEFRは、学習者の実力をより実践的に理解できる指標です。JLPTや育成就労制度との関係を知っておくことで、日本語学習の目的や指導方針をより明確にできるようになります。今後、日本語教育や外国人支援の現場で、ますます重要な知識になるでしょう。



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