【第1回】そもそも「育成就労制度」ってなに?

はじめに|外国人とともに働く時代へ

いまの日本では、さまざまな業界で外国人の方が働いてくれています。
農業、工場、介護、飲食店など、多くの仕事を支えているのは、まぎれもなく外国人労働者の存在です。

その中でも「技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど)」は長年使われてきた制度ですが、そのあり方について見直す動きが始まっています。

そして、これに代わる新しい制度として生まれたのが
「育成就労制度(いくせいしゅうろうせいど)」です。


1. 育成就労制度とは?

1-1|目的は「人材育成」と「安心して働ける環境づくり」

育成就労制度は、2024年に成立した「育成就労法(正式名称:外国人の育成就労の適正な実施及び外国人の保護に関する法律)」に基づく新しい制度です。

この制度の主な目的は、

  • 外国人が日本で働きながら成長できる環境をつくること
  • 働く人の人権や安全が守られること
  • 日本の企業が長く働いてくれる人材を育てること

にあります。

1-2|技能実習制度との違いは「育成と保護」がキーワード

これまでの「技能実習制度」も、「日本の技術を母国に持ち帰る」という目的で始まり、多くの人が来日して働いてきました。

ただし、長く使われてきた中で、

  • 仕事がきつすぎる
  • ちゃんと教えてもらえない
  • 転職ができない
  • ハラスメントの問題がある

などの声が一部で出ていたのも事実です。

これを受けて、技能実習制度のよい点は引き継ぎながら、問題点を改善する目的で育成就労制度が考えられました。


2. 育成就労制度の特徴(予定)

※以下の内容は、2025年4月時点で公開されている法案に基づいたものであり、詳細は今後決まる予定です。

2-1|転職のルールが見直される予定

技能実習では原則として転職はできませんでしたが、育成就労では、一定の条件を満たせば、同じ分野内での転職が可能になる方向で調整されています。

ただし、どのような条件で転職ができるのか、また、どんな支援があるのかなど、詳細はまだ未定です。

2-2|ステップアップ型の制度になる予定

育成就労で働いたあと、一定のスキルが認められれば「特定技能」などのより長期的な在留資格に移行することが想定されています。

このように「育成 → 活躍」へとつながるキャリアパス型の制度になると考えられていますが、こちらも実際の運用方法や移行の条件は検討中です。


3. いつから始まるの?

2024年3月に法律が成立しましたが、制度のスタートは2027年頃が予定されています。

現在は、

  • 実際のルールづくり
  • 支援機関の整備
  • 企業への指導体制

などが行われており、制度の中身は段階的に決まっていく見込みです。


4. 技能実習制度=悪い制度、ではない

ここで大切なことは、「技能実習制度がすべてダメだった」という話ではない、ということです。

技能実習制度によって、日本でスキルを学び、母国で活躍している方もたくさんいます。
まじめに受け入れ、しっかり教育してきた企業も多くあります。

ただし、制度全体として見直しが必要な点も出てきた。だからこそ、より時代に合った形にアップデートしようというのが、育成就労制度の考え方だと思います。


5. まとめ|育成就労制度は「未来のための制度」

日本と外国人労働者がおたがいに信頼し合いながら働ける仕組みを作ることが、これからの時代には必要です。

育成就労制度は、その第一歩。
ただし、まだ実施前であり、すべてが決まっているわけではありません

今後の制度づくりの進み方をしっかりと見守り、関係者が安心できる制度になるよう、社会全体で考えていくことが大切です。

いとさん

日本語教育・外国人支援/行政書士(開業準備中) 大学卒業後、ワタミに入社し店舗運営・人材育成を経験。 その後、外国人技能実習生の研修センターに転職し、センター長として7年間、外国人材の受け入れ・教育・生活支援に携わる。 インドネシアに約1年間在住し、送り出し機関の校長として現地教育にも従事。 日本語教育と現場支援の両面から、外国人と日本社会をつなぐ活動を続けてきた。 現在は、日本語教育・在留資格制度・外国人支援に関する情報をSNSやブログで発信。 TikTokフォロワー約15万人、Instagramフォロワー約1.5万人。 行政書士資格試験に挑戦し、現在は結果待ち。 今後は研修センター長としての業務に復帰しながら、行政書士としての開業準備を進めている。 また、日本語教師(国家資格)取得を予定しており、 インドネシア語検定にも継続的に挑戦中。 インドネシア語でのコミュニケーションが可能。

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