【第5回】永住ビザを目指すには?条件と準備すべきこと

やさしくわかる!在留資格ガイド

日本に長く住んでいる外国人の方にとって、「永住ビザ(在留資格『永住者』)」は非常に魅力的な在留資格です。更新が不要になり、就労制限もなく、安心して日本での生活を続けられるようになります。

今回は、永住ビザの基本、申請条件、必要書類、そしてよくある質問について、やさしく解説します。


1. 永住者とは?どんなメリットがある?

1-1|「永住者」とは?

「永住者」は、法務大臣が与える特別な在留資格で、一度許可を得れば在留期間の更新が不要になります。

  • 活動の制限なし(どのような仕事にも就ける)
  • 在留期間の制限なし(更新手続き不要)
  • 離婚・転職しても資格を失わない(条件あり)

ただし、「永住者」はあくまでも在留資格の一つであり、「帰化=日本国籍取得」とは異なります。日本国籍が欲しい場合は、別途「帰化申請」が必要です。


2. 永住ビザを取得するための条件

2-1|一般的な条件(法務省ガイドライン)

以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 素行が善良であること  → 法令違反、納税義務の不履行などがない
  • 独立して生計を営むに足りる資産または技能があること  → 安定した収入があり、公的扶助を受けていない
  • 原則として日本に10年以上在留し、そのうち就労資格または居住資格で5年以上在留していること  → 留学や技能実習などの在留期間は基本的に除外されます

2-2|追加で必要な条件

  • 現在の在留資格で「最長期間」(多くの場合3年または5年)をもらっていること
  • 所得証明や納税証明で、過去5年間の安定した収入と納税実績を証明できること
  • 日本での生活基盤(家族、住居、社会との関わり)があること

3. 特例による要件緩和

以下のケースでは、上記の「10年在留」などの条件が緩和される場合があります。

3-1|日本人・永住者・特別永住者の配偶者

  • 結婚後3年以上が経過し、日本に1年以上継続して在留していること

※離婚後に申請する場合は認められないため注意が必要です。

3-2|高度人材(ポイント制)

  • 高度専門職(出入国在留管理庁のポイント制)で70点以上:在留3年で永住可能
  • 80点以上の場合は1年で可能

※「高度専門職」の資格が必要なので、単に高収入なだけでは対象外になります。


4. 申請の流れと必要書類

4-1|申請の流れ(概要)

  1. 必要書類の準備
  2. 管轄の出入国在留管理局に申請
  3. 審査(通常6ヶ月〜1年程度)
  4. 結果通知(許可なら在留カードの変更)

4-2|主な必要書類(2025年4月時点)

  • 永住許可申請書(最新様式)
  • 写真(4cm×3cm、6ヶ月以内)
  • パスポートと在留カードのコピー
  • 住民票(世帯全員記載)
  • 直近5年分の課税証明書・納税証明書(市区町村役所)
  • 雇用証明書(勤務先発行)または事業の内容がわかる資料
  • 銀行残高証明書(任意だが提出推奨)
  • 配偶者が日本人等の場合は戸籍謄本など

補足:「身元保証書」は現在、提出が任意となっていますが、実際の審査では提出を求められることが多いため、用意しておくのが無難です。


5. 審査で重視されるポイント

5-1|安定した収入・生活の実態

  • 年収の目安:独身の場合で300万円〜、扶養家族がいれば+α
  • 公的扶助の受給歴があると不利になる可能性あり

5-2|納税と社会保険

  • 税金(住民税・所得税)と年金・健康保険の未納があると、不許可の可能性が高まります
  • 5年間の納税記録を見られるので、過去に遡って確認しましょう

5-3|素行の良し悪し

  • 前科、交通違反の多さ、生活保護の受給歴が審査対象になります
  • 細かな違反でも、複数回あれば不許可の理由になる可能性があります

6. よくある質問とその対応

6-1|Q. 離婚した後でも永住申請できますか?

A. 原則として、「日本人の配偶者等」など家族関係を根拠にした永住申請は、離婚後は認められません。ただし、定住者に変更してから永住を目指すケースもあります。

6-2|Q. 所得が少なくても申請できますか?

A. 家族からの援助予定書、貯金の残高証明などで補完できる場合がありますが、申請時点の生活基盤が弱いと不利になります。

6-3|Q. 長期間、日本を離れていたけど大丈夫?

A. 原則として、過去10年間で日本に継続して在留していることが求められます。長期の出国があると、審査に影響します。


7. 専門家に依頼するメリット

永住申請は、申請者の生活履歴や収入、婚姻状況など、非常に個別性の高い審査が行われます。そのため、行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなサポートを受けられます。

  • 不備のない書類作成
  • 審査官が納得する説明資料の作成
  • 審査基準に合った準備と戦略

特に、過去に不許可になったことがある方や、要件に不安がある方は、事前相談を強くおすすめします


8.まとめ

永住ビザは、日本での生活をより安定させるための大きなステップです。取得には時間と準備が必要ですが、しっかりと要件を理解し、丁寧に準備すれば、決して難しいものではありません。

大切なのは、「継続的な努力」と「正確な情報」です。不安があれば、信頼できる専門家に相談しながら進めていきましょう。

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